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感動する対象を教えてもらう人々【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第16回

森博嗣 新連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」連載第16回

 

【春になったらやりたいこと目白押し】

 

 暖かくなったら、これをやろう、あれもやろう、と考えていることが沢山ある。凍っていた土が柔らかくなり、土木工事が可能となるから、庭園鉄道の保線作業が始められる。室内でできない大きな工作、それから塗装作業などだ。奥様(あえて敬称)は、苗や土や肥料を通販で買い込み、ガーデニングを始めるため準備万端である。犬たちは、一年中なにも変わらない。

 税理士さんから、「そろそろ新車を買われてはいかがでしょうか」といわれた。僕も奥様も、もう8年も同じ車に乗っている。気に入っていて手放したくないし、買いたい車も見当たらない。4年まえに買ったクラシックカーは、修理を繰り返すうちにどんどん調子が上がり、今までで一番好調だ。3台とも小さい車だから、荷物は運べないし、大勢で出かけられない不便さがあるけれど、まあ、しばらくはこのままかな……。

 

朝日が昇る庭園。地面は苔に覆われているが、朝は凍っていて、白っぽく見える。日中にはこれが緑になる。樹の葉が出て、森らしくなるのは6月になってから。

 

文:森博嗣

 

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✴︎森博嗣 新刊『静かに生きて考える』発売忽ち重版!✴︎

 

 

森博嗣先生のBEST T!MES連載「静かに生きて考える」が書籍化され、2024年1月17日に発売決定。第1回〜第35回までの原稿(2022.4〜2023.9配信、現在非公開)に、新たに第36回〜第40回の非公開原稿が加わります。

 

 

 世の中はますます騒々しく、人々はいっそう浮き足立ってきた・・・そんなやかましい時代を、静かに生きるにはどうすればいいのか? 人生を幸せに生きるとはどういうことか?

 森博嗣先生が自身の日常を観察し、思索しつづけた極上のエッセィ。「書くこと・作ること・生きること」の本質を綴り、不可解な時代を見極める智恵を指南。他者と競わず戦わず、孤独と自由を楽しむヒントに溢れた書です。

 〈無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状況といえるだろう。人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものなのだから、辻褄が合っている。〉(第5回「五月が一番夏らしい季節」より)。

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森博嗣

もり ひろし

1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をするかたわら、1996年に『すべてがFになる』で第1回「メフィスト賞」を受賞し、衝撃の作家デビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか、「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、また『The cream of the notes』シリーズ(講談社文庫)、『小説家という職業』(集英社新書)、『科学的とはどういう意味か』(新潮新書)、『孤独の価値』(幻冬舎新書)、『道なき未知』(小社刊)などのエッセィを多数刊行している。

 

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